2019.07.12

7/3、フマキラー媒介蚊対策セミナーを開催『2019年夏季におけるヒトスジシマカの大量発生予測の試み』~5月の高気温と夏季における蚊の発生数との関係性について~講師:国立感染症研究所名誉所員 小林睦生先生

気候変動によりヒトスジスマカの北限が上昇、デング熱等の感染症の予防には、媒介蚊対策が最重要!!

フマキラー株式会社(本社:東京都千代田区、社長:大下一明)は、去る7月3日、国立感染症研究所名誉所員の小林睦生先生を講師に迎え、媒介蚊対策セミナー「2019年夏季におけるヒトスジシマカの大量発生予測の試み~5月の高気温と夏季における蚊の発生数との関係性について~」をフマキラーショールームにて開催いたしました。
今回のセミナー開催は、夏季に向けて媒介蚊による感染症への対策の重要性について、あらためて認識していただく機会となりました。

<要旨>

○気候変動による年平均気温の上昇により、ヒトスジシマカの北限が上昇

ヒトスジシマカが定着できる年平均気温は11℃以上であることから、ヒトスジシマカの北限は1950年代は栃木県北部であったのが、2000年に宮城県仙台市を超え、2010年に岩手県盛岡市を超え、2016年には青森県青森市と八戸市でヒトスジシマカが確認されました。
今後ヒトスジシマカの北限はさらに上昇することが予想されます。

○将来的に注意が必要な媒介蚊によるウイルス感染症

日本国内において将来的に注意が必要な媒介蚊による感染症は、「デング熱」と「チクングニア熱」。
<デング熱とは>
・WHO(世界保健機関)では、流行地域と患者数がこの10年間で拡大と増加の傾向にあり、再興感染症の中でも重要な疾患の一つとしている感染症である。
・症状は、発熱、頭痛、眼窩痛、筋肉痛、関節痛、食欲不振、発疹など。
・潜伏期は2-15日で、通常は3-10日。
・ネッタイシマカ・ヒトスジシマカが媒介するが、ウイルスの増殖は両種に大きな差がない。
・年間約1億人がデング熱を、約25万人がデング出血熱を発症し、2.5万人が死亡している。
※感染者数は、統計が取れている範囲。

<チクングニア熱とは>
・1953年にタンザニアで初めて分離、アフリカ、カリブ海諸、インド洋島嶼国・インド・東南アジア140万人感染報告(ヒトスジシマカ、ネッタイシマカ)。
・中南米で170万人以上感染報告(ネッタイシマカ、ヒトスジシマカ)。
・感染経路は、ヒト→蚊→ヒト。
・主な症状は、発熱・関節炎・発疹(関節痛は数か月から1年以上)。
・デング熱と誤診される場合が多い。
・2006年から2015年までの国内への輸入症例:77症例。
・2011年に4類感染症に追加。
・2017年イタリアのローマ周辺で流行(約360人) (ヒトスジシマカ)。
・2017年パキスタンのカラチ周辺で流行(約4,600人) (ネッタイシマカ)。
※感染者数は、統計が取れている範囲。

○デング熱の輸入症例数増加による国内感染症増加の可能性

2014年に東京代々木公園でデング熱の国内感染が発見されて以降も、国内におけるデング熱の輸入症例数は増加傾向にあり、それに伴い国内感染症も増加する可能性があります。今年秋に開催されるラグビーワールドカップや来年開催される東京オリンピックなどに向けた媒介蚊対策がさらに重要になります。

○4月の平均気温からヒトスジシマカの吸血開始日を予測

4月の平均気温とヒトスジシマカの吸血開始日の関係が解明されたことで、全国各地域におけるヒトスジシマカの吸血開始日が推定可能となりました。

○5月下旬の平均日最高気温と降雨量が、その年のヒトスジシマカの発生数に影響

ヒトスジシマカは20℃前後の温度で幼虫発育がゆっくり進み大型の成虫が羽化するため、産卵数が多くなる可能性があるという研究結果から、5月下旬の日最高気温の平均気温がヒトスジシマカの発育に影響していると推測されます。さらに、5月下旬の降雨量がその年の夏季のヒトスジシマカの発生数に影響すると予想されます。

※当日のセミナーの動画を下記にて限定公開しています。

今回のセミナーでは、感染症の原因となるヒトスジシマカの発生数には5月の平均日最高気温と降雨量が関係している可能性があるとのご説明がありました。さらにデング熱などの感染症の対策には媒介蚊対策が最も重要であるとのご指摘をいただきました。
フマキラーでは、「ひとの命、ひとの暮らし、ひとを育む環境を守る。」という経営理念のもとに、今後も害虫対策の啓蒙・啓発活動に積極的に取り組んでいきます。

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